研究概要 |
(1)GISによる犯罪分析 平成18年度には、犯罪とその地理的環境要因との関連分析を試みた。ここで、建物密度をもとに、対象領域を幾つかのケースに区分し、ケースごとのクラスタを分類した。クラスタ分析によって得られたデンドログラムから、対象領域の繁華街型区域を抽出できた。なお、犯罪発生データに基づく分析と地理的環境データに基づく分析の結果が一致したことから、犯罪発生と地理的環境との間に関連があることが証明された。 (2)地域防犯活動および防犯意識に関する調査 滝沢村内の小学生に対する集合調査を行ない、校区ごとの安全状況(登下校の形式、地域住民との接触・交流、見知らぬ人に声を掛けられた経験等)を調査した。また、滝沢村の全小学校、盛岡西警察署、岩手県教育委員会等の関係者に、不審者の出現状況・登下校時の児童の状況や地域安全活動の取り組み状況等について聴き取りを行なった。その結果、(1)この1年ほどの間に、特に県央・県南において見守り活動を実施、(2)ほとんどは地域住民(父母会、老人クラブ等)との連携で実施、(3)自律行動が増える小学校高学年の危険が高い、(4)見守り活動の維持・継続が困難、(5)見守り活動は危険の程度よりも地域の凝集性によって促進される、等が指摘される。 (3)高校生の自転車利用状況と盗難被害状況に関する調査 盛岡地区の高等学校25校を対象に、自転車利用状況、盗難被害状況等の把握を試みた(有効回答率は78.6%(1965部))。分析の結果、高校生の自転車利用率が高く、同時に通学時における自転車利用率も高いことが確認された。自転車盗難被害経験者は2割程度で、そのう、警察へ届け出た者の割合は約半数に留まった。主な理由は、「面倒だから」、「どうせ見つからないと思ったから」で、自転車盗に対する被害意識がやや低いことが確認された。 【学会発表】 1.竹高敦史,伊藤久祥,Dicky A. Prima Oky,伊藤憲三,GISによる犯罪とその地理的環境要因との関連分析に関する検討,情報処理学会第69全国大会,2007. 2.佐藤敦・細江達郎・細越久美子・長澤秀利・Prima Oky Dicky A.、GISによる犯罪発生場面の基礎的研究(3)-犯罪集中地区の検出の試み-、犯罪心理学会第44大会、2006. 3.長澤秀利・細江達郎・細越久美子・Prima Oky Dicky A.、GISによる犯罪発生場面の基礎的研究(4)-環境要因と犯罪発生との関連を中心に-、犯罪心理学会第44大会、2006.
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