研究課題/領域番号 |
17653069
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
山口 悦子 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (60369684)
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研究分担者 |
岡本 雅子 関西女子短期大学, 保育科, 助教授 (80352988)
渥美 公秀 大阪大学, コミュニケーション・デザイン・センター, 助教授 (80260644)
倭 和実 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (80305622)
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キーワード | アクションリサーチ / フィールドワーク / エスノグラフィー / 規範 / アート / 集合的記憶 / 協働的実践 / ハビタント |
研究概要 |
本研究では、医療現場における集団変容の要因とそのプロセスについて、参与観察とアクションリサーチを中心にデータ収集・分析を行っている。今年度は、大きく二つの分野について研究を行った。一つめは、慢性疾患の子ども達やその家族と、子ども達に関わる医療者・病院職員・ボランティア・芸術家などで構成される、いわゆる「病院という名のコミュニティ」を対象にした研究である。具体的には、従前より当院小児病棟中心に行われてきた療養環境改善事業「療養環境プロジェクト」の推進と事業評価を継続して行い、病院というコミュニティ(共同体)における教育活動支援や芸術活動支援が、慢性疾患患児らと家族の心的回復に寄与するだけでなく、関わる医療者および病院職員の達成感・やりがい感に繋がる点について、協働論を援用し考察した。その成果は本学創造都市研究科教員による編著単行本に寄稿した。また病院共同体に参与する芸術家の役割について岡田のいうハビタントの概念を適用して解析する予定である(第7回アジア社会心理学会発表予定)。さらに「療養環境プロジェクト」で培ったノウハウ・成果を元に病院組織内に「良質医療員会ボランティア活動ワーキンググループ」という組織横断的な実動部隊を立ち上げ、ボランティアコーディネータの雇用など実践面で病院に提言を行ってきた。その成果は第8回国際ボランティア学会で発表した。では、二つめの研究分野として、医療者の組織・集団と医療業務に焦点をあてた。「協働的実践」をキーワードに、セクショナリズムが強く硬直した組織に陥りやすい医療現場においてアクションリサーチを行った。まず医師・看護師・病院職員・患者等のコミュニケーションンの問題に焦点を当て、医療現場における対話についてパフチンややまだようこの対話理論を援用し考察、インフォームドコンセントの充実や医療安全への応用の可能性について示唆した(第70回目本心理学会発表)。また今年度はクリニカルパス導入推進を目的に、看護師・医師が協働して医療現揚を改善していくためのツールとしてのパスの意義を検討し、活動理論を援用して、クリニカルパス導入に伴う実践がEngestromのいう発達的ワークリサーチに相当することを確認した(第7回クリニカルパス学会発表、第54回グループダイナミックス学会発表予定)。
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