研究課題
本年度は、ストレスマネジメント介入の直接的な効果であるリラクセーション効果とアクティベーション効果を、他覚的指標を用いて検討することを目的とした。まず文献研究から、他覚的指標として(1)生理心理指標、(2)内分泌・免疫系指標、および(3)主観的認知評価尺度の3種の指標を常に計測して評価することが必要であることを確認し、以下の指標を安定的に計測するシステムを整えたうえで、実験を行った。(1)生理理心理指標:脳波(α、θ、β、δ帯域パワー成分)、心拍率(r-r間隔測定から瞬時心拍率、r-r間隔変動性)、瞬目活動(瞬目率、瞬目波形、および驚愕性瞬目反射)(2)内分泌・免疫系指標:唾液中分泌型IgA、コルチゾール、アミラーゼ活性(3)主観的認知評価尺度:眠気尺度(KSS)、状態不安尺度(STAI)、気分プロフィール(POMS)ならびに健康尺度(GHQ)とGAS研究会版こころの健康指標こうした多角的にして他覚的なる指標を用い、2つの実験を行った。実験1:大学生30名を対象として、スピーチストレスを負荷し、さらにリラクセーション音楽およびDVD視聴前後の変化を観察した。その結果、s-IgAおよびコルチゾール値はストレス負荷により顕著に増加したあと、リラクセーション音楽・DVD視聴により低減した。また心拍率、状態不安尺度も同様の動態を示し、眠気尺度は逆の影響を受けた。実験2:大学生20名を対象として、15分間の歩行によるアクティベーション効果を検討した。歩行負荷前後で心拍率・血圧値はもとより、唾液中分泌型IgAおよびコルチゾール値が増加した例では、30分の休息後回復する経過が観察された。以上の結果から、従来の主観的尺度や生理心理学指標に加え、唾液中免疫指標であるs-IgAならびに唾液中内分泌成分であるコルチゾールといった微量物質がストレス負荷効果ならびにリラクセーションおよびアクティベーション効果の指標として有用であることが確かめられた。現在、唾液中アミラーゼ活性ならびにコルチゾンなど他の成分を新たなストレスならびにリラクセーションの指標として活用すべく評価実験を行っている。
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心身医学 45・5
ページ: 359-366
心理学ワールド(日本心理学会編集・発行) 30号
ページ: 5-8
子どもの健康科学(日本子ども健康科学研究会) 5・2
ページ: 3-9
生理心理学と精神生理学 23・2
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