研究概要 |
デンマークにおける青年期教育の取り組みについて研究するため,平成17年9月に約3週間デンマークに滞在した。研究代表者にとって今回が初めてのデンマーク訪問であり,まずは研究全般の基盤づくりとして,高度な福祉国家として知られるデンマーク社会の現実にふれるため,約1週間,ボーゲンセの日欧交流学院に滞在した。同学院は,本研究で注目するデンマーク特有の学校制度である国民高等学校の一つであり,しかも日本人によって設立されたデンマークと日本の若者のための学校である。研究代表者は,日本人研修学生とともにデンマーク社会を学ぶための短期研修に参加し,当地の国民学校(小中学校),高等学校,老人ホーム等を見学し,福祉国家デンマークにおける教育と福祉の豊かな現実の一端にふれることができた。 その後,当初の予定通りロスキレに1週間,さらにコペンハーゲンに1週間滞在し,本研究の研究協力者であるソーアン・デュポン氏が所属するロスキレ大教育学部,およびデンマーク青年研究センターのあるデンマーク教育大学を訪問し,関係資料の収集に努めるとともに両大学の研究者へのインタビューを行った。特にロスキレ大では,デュポン氏の配慮で多くの研究者に会うことができた。デンマークの学校教育,職業教育の実情や課題について第一線の研究者から直接,説明を受け,次年度以降の研究の展開にとって大きな収穫となった。またデンマーク教育大では,青年研究センターの活動について種々の資料を得ることができた。 全体として本研究は緒に就いたばかりだが,ロスキレ大を根拠地として次年度以降の研究を展開するうえで,有意義なデンマーク滞在となった。日本の若者についての研究の方では新たな展開はなかったが、従来からの問題感心と研究を継続している。
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