本研究は、東アフリカ3ヵ国(ケニア、タンザニア、エチオピア)を中心に、教育セクターの開発目標として国際社会で合意、採択されているEducation for All(EFA)が、アフリカ諸国の教育政策に実際に取り込まれ、内部化されていく過程において、どのような変容、適応を果たしているかを国ごとに比較分析することを目的としている。平成18年度は、事例3力国で具体的な調査を行ったほか、インタビューデータを解析し、その結果を共同研究者とともに共有し、比較研究を行った。 インタビュー調査では、「万人に教育を与える」という発想自体は新しくない、という発言が多く聞かれた。本調査では、そのように元来その国にある「万人のための教育」理念に、EFA開発目標がどのように当てはめられるのか、教育政策や実施の変容がどの程度外生的要因によってもたらされ、どの程度固有の制度や文化、歴史によって既定されるのかを分析している。 調査の結果、Education for allという概念自体は新しくないが、達成目標を設定して、達成度の測定を行って国際的評価がなされること、これまでと違う資金援助方法が持ち込まれたことがEFAの新しさだという反応が多かった。しかし、EFA開発目標の達成度を報告書に纏めたり、援助機関の資金援助の受け入れ窓口になっている人々は教育省の中でも一部で、それ以外の人々にとって、教育行政の実施は、EFA開発目標導入前と後で大きな違いはないとの声も聞かれた。 来年度は、研究成果を英文報告書として取りまとめるとともに、学会発表やワークショップなども実施し、研究成果の普及に努める予定である。
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