研究課題/領域番号 |
17653109
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
山崎 友子 岩手大学, 教育学部, 教授 (00322959)
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研究分担者 |
HALL James 岩手大学, 教育学部, 講師 (80361038)
UNHER Michael 岩手大学, 教育学部, 外国人教師 (90400176)
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キーワード | 英語教育 / 国際理解教育 / 現場との協同 / 多様な実習 / 協働的学び / ティームティーチング / 振り返りと改善 / 自律的学び |
研究概要 |
英語運用力が高く、国際理解の視点を持ち、多様な学習者に対応できる実践的指導力を有する英語教師の養成プログラムの構築に向けて、「現代との協同」「協働的学び」「自律的学び」をキーワードとして実践をもとに研究を勧めた。現場と協同した教育活動として、(1)小学校英語活動実習(2)海外英語教育実習「プアン・プログラム」(3)総合演習「国際」におけるフィールド・ワーク(4)スクール・インターンシップ・プログラムを実施した。さらに、(1)の分析結果をもとに、協力校教員も招いてのディスカッションを設定し、学生・教員がともに自らの実践を客観的にかつ協働的に振り返る機会とした。また、(2)の受け入れ校であるタイ王国バンサイウテヤ中等学校の教員を招いて、実習参加者およびその他の学生を対象としたタイ王国の学校教育・英語教育についての講演および意見交換会を開催し、「プアン・プログラム」の更なる充実に向けて協議した。(3)は、英語科が担当している「国際」をテーマとする、「総合演習」の1科目であり、その中で岩手県三陸沿岸の町『田老』をフィールドとし、津波災害と被害復興の実相を学ぶ中で、ローカルな課題からグローバルな視点を獲得させようとした。(4)は留学生を地域の学校へALTあるいはゲスト・スピーカーとして派遣し、日本人学生がその支援にあたるプログラムである。 (1)は、英語科教育法I(前期)・II(後期)において2年生が、「小学校の英語教育」において4年生が、年に二回、地域の小学校で英語活動実習を経験する。グループでの教壇実習であること、学級担任とのTTという形態をとることから、「協働的学び」の機会となっている。特に2年生は、現職の学級担任から指導技術を学んでいる。グループ実習という形態は、事前準備の段階で教員が丁寧に介入をすることにより、より効果が上がることもわかった。 (2)の実習ノートを分析すると、学生の教材作成能力が短期間に向上していることが分かった。また、タイ語が話せない中での英語教育実習であるため、英語をコミュニケーションのための道具として活用せざるをえず、英語の運用に関して積極的になっている。この「プアン・プログラム」における学生の成長に関して、Asia-TEFLの国際会議(2006年8月)において"Japanese College Students' On-site Teaching Practicum in Thailand"として発表した。 (3)のレポート分析から、すぐれた「現場」の持つ教材としての力が浮かび上がった。この実践をもとに津波防災教材の中に"I am your tsunami guide."(DVD)を作成した。平成19年度は、このフィールド・ワークにおいて協力いただいた昭和三陸大津波の生存者である田畑ヨシさんの紙芝居を英語教育の教材とし、タイ王国における英語教育実習において使用し、タイ王国の生徒および英語科教育へ伝えていくことにしている。 (4)については、教師の介入は極力少なくし、自律的学びを促進しようとしているが、学生の報告書の分析から、学生間の学びが見られた。岩手大学英語教育論集に論文を掲載した。
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