研究課題
萌芽研究
本研究は、今日主流となりつつある構成主義的な学習スタイルで展開される小・中学校の理科授業を対象として、教授(=教え)行為の実態を明確化することであった。収集した授業記録から、教師の支援行為で必要な事柄を列挙すると、およそ次の6点に集約することができるように思われる。1.クラス内で共有されている事象に対する子ども固有の表現(「社会的言語」化した言葉など)への着目と、この事を実現するための十分な表現活動の保証。2.子ども固有の表現に対する一貫した科学の視点からの関わり。この事を実現するための、対話的な場と環境の保証。3.子どもの表現から判断できる発達の最近接領域(ZPD)の状態の把握と、教師からの「科学用語」や「理論、法則」の子どもへの提示(「足場づくり」としての支援)4.学習した科学用語や理論等を用いて、他の事象を解釈させること。それによる「思考の文脈(用語や理論の適用の文脈)」の拡張。5.子どもが獲得した科学用語や理論の「専有」の程度のモニタリング(コーチングとしての関わり)6.子どもの専有の程度に応じた、支援のフェードアウト(フェーディング)するような関わり。これら6つに類型化された教授行為については、小学校3年理科「磁石」単元における事例、小学校3年「豆電球と乾電池」単元の事例、中学校1年「物質の状態変化」の単元の授業分析をもとに、明らかにすることができた。分析にあたっては、現象学的な表現形態として「ディスコース・ダイアグラム」を採用し、詳細についての検討を行った。また、そのダイアグラムによる分析手法について、授業実践者の率直な意見や感想も併せて収録し、本研究で用いた分析手法の応用可能性を吟味・検討した。
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初等理科教育(日本初等理科教育研究会編) 41巻・2号
ページ: 24-27
Elementary School Science Education Vol.41, No.2
理科教育学研究 47巻・2号
ページ: 31-39
Journal of Research in Science Education Vol.47, No.2