研究概要 |
本研究の目的は,学校における音楽授業において,日本音楽の伝統的な特性を生かした義務教育9年間にわたるカリキュラムを開発することにある。本年度の実践概要は以下の通りである。 日本語を話す日本の子供が持つ音楽的感性や音楽的・身体的行動,日本人の音楽創造・音楽把握の在りようについて考察するとともに,日本伝統音楽のとらえ方について,再検討を行い,伝統音楽を生み出す身体を基盤とし,動き・息,ことば・ふし,音色といった視点からのカリキュラム構成を行い,「日本音楽のカリキュラム構築にむけて〜日本人の認識法や音楽的感覚によるアプローチ〜」として『新潟大学教育人間科学部紀要第9巻第1号』に論文としてまとめた。また,この研究成果を以下において発表した。なお,民俗音楽の背景研究として,講義用に「民俗音楽の世界を解体する」と題したテキストもまとめている。 ・日本民俗音楽学会主催第5回民俗音楽研究会「捉えようのない民謡の何を捕らえるか」(東京学芸大学) ・文部科学省主催の平成18年度伝統音楽研修会事例発表(国立劇場) ・日本音楽教育学会プロジェクト研究「日本音楽をどのように捉えたらいいのか〜その1 場 伝える 身体〜」(千葉大学) 以上のカリキュラム研究をもとに,授業実践を行った。中心となるのは,新潟大学教育人間科学部における「日本のこどものための音楽プログラム その5 〜発見! 長岡甚句のおもしろさ〜」と題した授業で,日本の民謡の教材性と授業構成について研究の成果を一般教員に還元するとともに,小学校4年生と対象をした授業実践を行った。なお,授業に当たっては,長岡甚句について,長岡祭りや長岡甚句の関係者に取材をしている。これに加え,研究協力員の授業も実施し,カリキュラムの検討をし,来年度に向けた課題を明らかにした。
|