本年度も昨年度に引き続き以下の3点を実施した。 1)神戸大学発達科学部附属幼稚園、附属明石小学校、附属明石中学校およびカリキュラム開発研究センターの4研究組織の緊密な連携のもとで、キャリア発達支援のための12年一貫教育カリキュラムの開発を継続して行った。 2)園児・児童生徒のキャリア発達を支援するサポーターを園・学校後援会、保護者、地域から幅広く募集し、キャリアサポーター情報システムに登録した。 3)昨年度に続き神戸大学教員をアカデミックサポーターとして登録し、調べ学習等での専門的知識の提供を可能にした。 特に1)については、以下のような研究成果を発表した。 附属幼稚園では、研究紀要35を発行し、視点「自分の生き方」、「人とのつながり」を核とした、学びの方向性「10視点」を基に、保育を構想、実践、評価し、『3〜5歳の学びの分析表』『3〜5歳の学びの過程表』を作成した。これは児童期へとつながる子どもの学びの連続性を見通しながら、3〜5歳の学びの過程を詳細に示したものである。 附属明石小学校では、キャリア発達支援カリキュラムの開発を、社会の営みと子どもの発達という視点からとらえ、小学校6か年におけるカリキュラムを7つの経験群によって整理し、研究紀要第40巻としてまとめた。また研究発表会においてシンポジウム「次世代を拓く子どもに求めるキャリア形成」を開催し、小学校期におけるキャリア発達支援のあり方を討議した。 附属明石中学校では、昨年度に引き続き「自他の価値を感じて生きる」という研究主題のもと、キャリア発達支援カリキュラム開発を行った。具体的には、本校園が目指す「社会を創造する知性・人間性を身に付けた子ども」の育成に向け、教科学習とキャリア総合学習によるカリキュラムの構築とその展開を行った。教科学習は従来通りの9教科から成るが、人間学習の3つの視点と23の身に付けさせたい感性・能力・態度を意識して単元を展開することとし、キャリア総合学習は、生徒が様々な学びを高め統合し、活用していくよう方向付けたものとした。この成果は研究紀要34として公刊した。
|