研究概要 |
モティーフ理論(混合モティーフまたは純モティーフ層,混合モティーフ層)についての研究を進めた. 1.高次Chow群にっいての最も重要な定理はlocalization theoremである.これを トーリック多様体のうえのサイクルを使って定式化,証明をすることを考察した. トーリック多様体には余次元1の不変因子があり、これを面とみる。面とプロパー・に交わるサイクルの生成する自由アーベル群は、面との交叉を境界作用素としてもつ複体をなす(トーリックサイクル複体とよぶ)。 これに対し代数的単体を用いて同様に構成された複体をサイクル複体とよぶ。代表者は前者から後者への標準的準同型Psiを構成した。 2.私と、M.Levine氏、V.Voevodsky氏は独立に体上の混合モティーフ理論を構成したが、三っの理論が等価であることを証明した文献はなかった。三つの圏が同値であることを証明した。 (なおこの結果はロシアのBondarko氏も独立に得ている。)また、Friedlander-Voevodskyはcdh位相を用いてサイクルコホモロジーを定義し、独立に代表者はhyperresolutionを用いてモティーフコホモロジーを定義した。代表者はこれらのモティーフコホモロジー理論が一致することを示した. 3.代表者は混合モティーフの圏とくにその部分圏として混合Tateモティーフの三角圏DT (k)を定義した。 他方、BlochとKrizはサイクル複体からあるLie代数Lを定め、その表現の圏Rep (L)を混合モティーフのアーベル圏の候補とした。 代表者は、(1)DT(k)からRep(L)への関手Fを構成し、(2)それがコホモロジー関手と両立することを示し、(3)この関手によりポリログ対象が対応することを示した。(4)またこの関手は(或る条件のもとに)ほぼ圏同値である。
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