研究課題
二重ゼータ値のシャッフル関係式と、モジュラー群に関するモジュラー形式の周期多項式との関係を拡張すべく昨年度行なった、三重アイゼンシュタイン級数のシャッフル積に関する計算を引き続き継続し、形式的な部分はある程度並行した議論が出来たが、モジュラー形式との関係を見つけるには至らなかった。また、二重の場合、レベルをつけて考えることを修士学生梵真沙子の協力を得て試み、二重L値の関係式についての一定の知見を得た。しかしながらやはり当初の目論見であったモジュラー形式との関係を明らかにすることは出来なかった。一方、多重ゼータ値の導分関係式を与える導分をある仕方で「ひねって」得られる導分(もどき)について、計算機実験によりそれが多重ゼータ値の関係式を与えることが予想されたが、それについて、昨年度観察した、名大の川島氏により得られた関係式との密接な関係にもとづき議論を進め、この「ひねり導分関係式」が「川島関係式」に含まれること、したがって実際に多重ゼータ値の関係式であることが、主として博士学生田中立志により証明された。多重ベルヌーイ数と、Hoffmanが研究した有限多重ゼータ和の素数還元との関係を見出した。この類推に基づき、等号つき多重ゼータ値に関してある種の双対性のような結果を計算機実験により観察、予想として定式化した。これはすぐに大野泰生により証明された。これらについて、日仏冬の学校、同志社大での研究集会において講演を行ない、得られた結果を論文として公表した。
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Software for Algebraic Geometry, IMA 148
ページ: 47-58
Diophantine analysis and related fields(DARF 2007/2008), AIP Conf.Proc 976
ページ: 118-124