研究分担者 |
吉田 朋好 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (60055324)
本多 宣博 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (60311809)
増田 一男 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (20016158)
村山 光孝 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (40157805)
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研究概要 |
コンパクトシンプレクティック多様体(M,ω)に対し,ωと両立する複素構造全体のなす無限次元多様体を考える.この無限次元多様体は自然なシンプレクティック構造を持つ,そして無限次元多様体の元である複素構造に,この複素構造とωとが定めるケーラー多様体のスカラー曲率を対応させる写像は,ハミルトン微分同相全体の群の作用に関してモーメント写像になる.有限次元複素幾何におけるGIT安定性のモーメント写像を用いた記述との類似から,スカラー曲率一定ケーラー計量を許す複素構造の全体はこの意味でGIT安定なものの全体であると言うことができる.この萌芽研究における成果は,ωと両立する複素構造全体のなす無限次元多様体の自然なシンプレクティック構造を小さいパラメータで高次チャーン類を組み入れてうまく摂動し,更にスカラー曲率もうまく摂動すると,摂動スカラー曲率がモーメント写像になることを証明したことである.有限次元のモデルにおいてモーメント写像の2乗の臨界点の固定部分群のリー環は特別な構造をもつ.一方,非摂動スカラー曲率のL^2ノルムの臨界点はextremal K"ahler計量になり,このような計量をもつ複素構造の自己同型群は上述の特別なリー環の構造を持つことがE.Calabiにより証明されていた.摂動スカラー曲率の場合もやはりそのL^2ノルムの臨界点は摂動extremal K"ahler計量と呼べるものになり,このような計量をもつ複素構造の自己同型群は上述の特別なリー環の構造を持つことが証明される.この観点から,摂動extremal K"ahler計量を持つ複素構造全体は開集合をなす予想されるが,証明は困難である.以上のような無限次元モーメント写像として記述され,GIT安定性をモデルにして研究するというこのアイデアはもっと適用範囲が広いのではないかと期待している.
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