研究概要 |
本研究は、群の樹木への作用に関して、次のような新しい可能性を切り開く事を目的としています。筆者自身の発見による"群の樹木への作用に付随して無限遠に現れる群"の概念は"樹木の無限遠における自己同型群"として定義されるもので、オリジナルな群の構成法です。例えば作用する群としてPSL(2,Z)を取ると、Thompsonにより発見された"有限表示無限単純群"に同型になることが証明できました。さらに、作用する群をPSL(2,Z)以外の群に取った場合にも、Thompson群と同様の興味深い性質を持った新しい群が得られるのではないかと期待されます。この目標に向かって、"群の樹木への作用に付随して無限遠に現れる群"が有限表示無限単純群になるための条件など、様々な性質を統一的に調べ上げることが、現在取り組んでいる課題であり、この研究の今後の主要な目的とするところです。また、群の樹木への作用の研究は、3次元多様体の最も重要な不変量である基本群の研究にも大きな寄与をなすものです。特に結び目群の構造と、結び目補空間のSeifert曲面との関係に関して、次の研究成果が得られました。 ・"On knots with infinitely many distinct incompressible Seifert surfaces" 上智トポロジー研究集会(2006) ・「同値でない非圧縮Seifert膜を無限にもつ結び目について」 大阪大学トポロジーセミナー(2006) さらに本研究の教育的な側面に関しても、積極的に研究活動をおこない、研究発表等をおこなうことができたことは、大きな成果であるといえます。これらの実績に基づいて、次年度においては尚一層充実した研究をおこない、研究の進展のため努力していきたいと考えております。
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