研究概要 |
完備性の下で極小曲面のガウス写像の値分布を説明する幾何を明らかにすることが目標である.完備極小曲面が擬代数的であるとは,そのワイヤシュトラスデータがコンパクトリーマン面から有限個の点を除いた穴あきリーマン面上で定義されるが周期条件は要求しない.擬代数的極小曲面がガウス写像の全分岐値数の評価をアーカイブmath.DG/0511543に発表した.代数的極小曲面の場合はガウス写像を普遍被覆である円板に持ち上げてネヴァンリンナ理論に持ち込んで研究するのが有効である.ガロア群の作用つきのネヴァンリンナ・ガロア理論を円板上で展開していく.代数幾何的方法では周期条件のうち曲面のトポロジーを生み出すサイクルの寄与を数値化できないという限界があるが,ネヴァンリンナ・ガロア理論ではこの点の解析が原理的に可能である.例えば,ガウス写像をコンパクトリーマン面からの有理方像に拡張したものの次数と穴あきリーマン面のオイラー数の絶対値の比に関わらず,ガウス写像の高さ関数の増大度はワイヤシュトラスデータの定義域だけで決まる関数で押えられることが示される.よって代数的曲曲面のガウス写像の対数微分の補題が除外値問題に本質的である.ガウス写像のネヴァンリンナ・ガロア理論では対数微分の補題の右辺はガウス写像の高さ関数のある定数倍のオーダーを持ち,誤差項に吸収できない大きさを持っている.その定数が3より真に小さいことが分かれば全分岐値数票評価に対して長年未解決の予想が解ける.予想は2.91である.予備的・発見的考察をアーカイブmath.CV/0512302に発表した.ペレルマンが導入したリーマン幾何的熱浴の分かりやすい説明を見いだし,それを東北大学COEの講義録に発表した.最短閉測地線の長さによる球面の特徴付けについてアーカイブmath.DG/050748に発表した.
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