研究概要 |
離散フーリエ解析は,画像情報の空間周波数分析や各種信号のノイズ除去に利用されるなど,様々な研究分野で重要な位置を占めている.しかしながら,一般形状の境界を持つ領域上で与えられた信号を扱う場合,境界上での信号の不連続性に起因するGibbs現象が,従来の離散フーリエ解析における大きな妨げとなっていた.本研究では,一般形状の境界を持つ領域内で与えられた信号に対し,オブジェクト境界上での信号の振る舞いをソースとするポテンシャルを用いて,Gibbs現象の軽減を試みている.また,従来の離散フーリエ解析は一般形状の領域内で与えられた情報に対する処理が不十分であったため,数理生物学への応用には適さなかったが,オブジェクトベースの解析手法は様々な生物モデルに対する応用が可能である. (1)実際のポテンシャルの計算は,Green's identityを適用すると,オブジェクト境界における信号値とその法線方向微分値を用いた境界積分によって定義された単一層ポテンシャルおよび2重層ポテンシャルの計算に帰着される.本研究で開発したポテンシャル計算アルゴリズムの脳内活動解析への応用に関する検討結果を「Journal of Computational and Applied Mathematics」において発表した. (2)入力信号と矩形オブジェクト境界上での信号の振る舞いをソースとするポテンシャルとの残差に対する離散フーリエ解析に関する研究成果を,「In Wavelets XI, Proceedings of SPIE」内において発表した.
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