研究概要 |
研究分担者がそれぞれの分担課題に関して恒常的に検討を続けた。また、2005年9月にドイツDagstuhlにて1週間合宿して行われた国際研究会「Algebraic and Numerical Algorithms and Computer-assisted Proofs」には、中尾と横山が参加して講演するとともに、海外からの参加者との討論を深めた。今年度の主な研究実績は以下の通りである。 1.中尾は、楕円型境界値問題および定常Navier-Stokes方程式の解に対する精度保証付き計算法を、より実用度の高いものに改良・拡張することを試みるとともに、実際問題に適用しその有効性を実証するとともに、その記号処理による実現法について検討した。具体的には、 (1)無限次元Newton法にもとづく数値的検証法の実際問題への適用例として2次元Driven-Cavity問題の解を取り上げ、有限要素法とその構成的誤差評価を用いた場合の検証を実現した。 (2)空間2次元熱対流問題の解の検証のためにスペクトル法をもとにした精度保証方式により、理論的解明が困難な分岐点自体の数値的存在検証方式を与え、数学的に厳密な数値的検証を行った。 (3)2次元重調和方程式の有限要素解に対するアプリオリ誤差評価定数を、実用的な値で精度保証付きで算定する方法を定式化し、その実例を与えた。 2.吉川は、Hilbert空間の双1次形式に関するRieszの定理とLax-Milgramの定理の計算可能解析学における定式化を行い,さらに,楕円型変分問題への応用条件をこの立場で検証した。成果の一部は,8月京都大学で開催された関連国際学会CCA2005の併設テュートリアル講演として発表した。残部は,11月にCape Town大学Vasco Brattka準教授との共同研究で完成させた。 3.横山は、本研究の工学への応用事例として、制御における、多項式の根の配置問題について、従来の数値シュミレーションとは異なる、記号・代数的手法により、保障された正確な計算法を与え、それを国際会議で発表した。さらに、代数制約(連立代数方程式)に関して、パラメータを指数部に持つ場合の解(affine variety)の構造の安定性について、Gr" obner基底の形の安定性に基づき、いくつかの基本的な結果を得た。概要について、国際会議で発表した。
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