研究課題/領域番号 |
17654027
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中木 達幸 広島大学, 大学院理学研究科, 教授 (50172284)
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研究分担者 |
平岡 裕章 広島大学, 大学院理学研究科, 助手 (10432709)
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キーワード | 移動境界問題 / 数値解法 / 空間多次元 / ステファン問題 / Porous medium方程式 / 特異極限 |
研究概要 |
本研究は空間多次元にも自然に対応できる数値解法のうち、移動境界問題の解とその移動境界を数値的に捉えるものの開発研究を目指している。研究代表者と分担者に加え、本年度も富山大学助手の村川秀樹氏にも研究協力者として加わって頂き、3名で研究を遂行した。 本研究の初年度から、主にステファン問題(氷が融ける過程を記述したもの)を取り上げ、空間1次元、および、2次元以上について、移動境界を捉える数値解法を検討している。この成果を論文としてまとめつつあるが、さらに精査する必要があると思われる。その主要な結果は、数値解がL^2の強位相、時間L^2空間H^1の弱位相で真の解に収束するというものである。本年度は主として、この数値解法による数値実験を行い、数値解の性質(収束次数など)を調査した。その結果、数値的には次数は1であると思われる。次数の改良の余地の有無や数学的な裏付けについて、さらなる検討を加える必要があると思われる。 同じアイデアをporous medium方程式(多孔質媒体の中の流れを表す)に適用することも研究した。スケールの不変性から形式的に得られる条件の下、数値実験を続行し、良好な数値解と数値的な移動境界を得た。この数値解法の数学的な性質について、本年度、多方面から検討を行った。現時点での途中経過として、次のことが言える。すなわち、形式的にはステファン問題と同じ手法を用いているが、数学的な収束性についてはステファン問題とは別のメカニズムが働いているように思え、同様の手法での証明は期待薄である。そのため、数学的に証明でき、しかも数値的に良好な結果を壊さない手法の検討が来年度の課題として残された。
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