1階双曲型方程式系のCauchy問題(初期値問題)のC^∞及びSchwartz超函数の空間における適切性(解が一意に存在すること)について考察した。特に主要部の定義する特性多項式が定数係数多項式であり、方程式系がいわゆる極大ランク条件を満たすときに、Cauchy問題がC^∞適切であるための必要十分条件を得た。超局所的に方程式系を単独の擬微分作用素の方程式に帰着して、得られた条件が必要条件であること及び十分条件であることを証明した。その際、必要条件の証明においては、Tarski-Seidenbergの定理と以前の私の単独方程式に対する結果をフルに用いた。またIvrii-Petkov及びIvriiの方法を少し改良した。十分条件の証明には、梶谷-若林において与えられたC^∞適切性の十分条件のための一般論を改良して適用した。さらに極大ランク条件はかなり強い条件であるので、主部が定数係数である場合に極大ランク条件なしに、C^∞適切であるための十分条件について考察した。解を逐次近似によって構成することにより、C^∞適切性のための一つの十分条件を与えた。 Fourier乗法作用素に対して、不確定性原理に基づいて、一般化されたPoincareの不等式を導いて、そのSchwartz超函数の空間での局所可解性のための十分条件及び必要条件を得た。(anti-)Wick作用素に対してこの結果を拡張することを考え、(anti-)Wick作用素に関連した窓Fourier変換の値域の特徴付けとその上での乗法作用素の表現について研究した。残念ながら、時間的な制約もあり、これについては不十分な結果に終わってしまった。来年度以降の発展につなげたいと思う。 主催者として、2月17日〜2月20日の期間で研究集会「Tsukuba Symposium on Partial Differential Equations」を開催した。この集会にWickカリキュラスの専門家にも講演を依頼し、彼らと討論を行った。
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