代表者の野村は分担者の伊師英之と共同で、既約な等質凸錐体でその双対凸錐と線型同型でありながら自己双対ではない凸錐体の例を、任意階数(ただし3以上)において構成した。任意次元(ただし階数は3)のものは2007年にすでに国内外で発表しているが、2007年末の名古屋大学でのワークショップで、任意階数のものを構成し、基本相対不変式をすべて明示的に算出した。 2008年1月には、分担者伊師を本科学研究費でフランス・アンジェ大学に派遣し、アンジェ大学のGraczyk教授と昨年度に引き続いて、ベクトル値2次形式に付随するWishart分布の研究を行い、伊師の結果であるRiesz超函数とのさらなる関連を追究した。共著で学術論文をまとめつつある(すでに草稿はある)。またグラフ・モデルによる等質凸錐の構成なども研究した。 2007年12月には、東京大学に滞在中のPevznerランス大学教授(フランス)を九州大学のセミナーに招聰し、Rankin-Cohenブラケットと複素解析的離散系列の関連について講演をしてもらい、本研究を終えるにあたって、研究の新しい方向性を探った。 2008年2月に、学術振興会の二国間交流の枠組みで開催した日露ワークショップには、その日本側参加者リストには載せられていない、下村宏彰高知大学教授、金行壯上智大学名誉教授、示野信一岡山理科大学准教授、笹木集夢早稲田大学大学院生らを本科研費から招聘し、講演をしてもらい議論を行った。これらは本研究の総括ともいえる。
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