研究概要 |
研究代表者は以下の研究を行った. 電気流動学や弾性学などに現れる偏微分方程式の研究において,変動指数をもつ関数空間が重要であることがわかり,2000年に入って次々と研究成果が発表されてきた。 一般に,関数空間の研究において,Fefferman-Steinの極大関数の有界性を調べることが重要となる。近年,Dieningがいわゆる0ヘルダー連続と呼ばれる変動指数をもつ関数空間でもFefferman-Steinの理論が成り立つことを示したことをきっかけとして,この分野の研究が急速に発展している。 本研究において,変動指数をもつ関数空間に関する多くの研究成果を整理することができた。特に,変動指数をもつソボレフ型空間に関するソボレフの定理に関する最近の成果を踏まえて,Dieningが扱った変動指数を一般化する方向で研究が進展中である。さらに,この方面の研究者とも密接な研究交流が構築されつつあり,近い将来,大きな成果を挙げることが期待できる。 研究分担者は以下の研究を行った. ・下村は研究代表者とともに,変動指数をもつ関数空間におけるソボレフの不等式やTrudingerの不等式について研究を分担した。 ・吉田は偏微分方程式の解の性質を調べる研究を分担した。偏微分方程式の解を求める一つの方法として変分法が有効であり,このためにソボレフ型の定理が必要とされる。 ・島は,確率論からのアプローチを模索する研究を分担した。
|