研究概要 |
昨年度得たモジュライ空間上のTakhtajan-Zograf計量とWeil-Petersson計量の研究に関する新しい知見を発展応用させるべく、研究を推進した。5月に東北大学、9月には東京大学において、モジュライ空間上の特性類であるウィッテン類が、Thaktajan-Zograf計量の4/3倍で表せることを発表し、その応用としてモジュライ空間のTakhtajan-Zograf体積がすべて決定できることを解説し、大きな関心と驚きを引いた。また、共同研究者のW.-K.To氏とL.Weng氏とのモジュライ空間の境界におけるTakhtajan-Zograf計量の漸近展開について定理を論文してまとめた。その結果、Takhtajan-Zograf計量とWeil-Ptersson計量の比較定理が得られ、コンパクト化したモジュライ空間の特性類の研究において、新機軸を与えたと考える。 さらなる進展のためには、リーマン面の対家族に対するのEisenstein級数の振る舞いのより詳細な解析が必要であるが、共同研究者のWolpertとともに新しい手法を導入し推進している。今のところまだ決定的な結果は出ていないが、問題点の本質がしだいに浮き彫りになってきていて、近い将来に完全に解明できる可能性を感じている。 Weil-Petersson計量はW.Thurston, Wolpertにより測地線の分布密度との密接な関連が示されているが、研究代表者はP.Sarnakが点付きリーマン面上のホロサイクルの分布密度とEisenstein級数の関係を明らかにした研究に強い関心をもち、この文脈においてTakhtajan-Zograf計量の新解釈を与えるべく、努力を続けている。
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