ニュートリノファクトリーでは大強度の陽子ビームによってつくられたミュオンビームを更に10-20GeVまで加速し、高品質のニュートリノビームの実現を目的的としている。この実現のためには多くの開発要素があるが、その重要なもののひとつはミュオンを線形加速器で加速することができるように運動量の揃った状態にするための手法である。このためにイオン冷却の他、FFAGを用いて縦方向の位相空間内でのバンチ回転をおこない数ターン(マイクロ秒)の間に運動量の広がりの少ないビームに変える手法が提案されている。このとき必要になる高周波電圧は多くのミュオンを捕獲するために数MHzという低い周波数が適しているが同時に高い加速電圧勾配も必要となる。このため、酸化チタンを用いて加速ギャップ周辺に大きな静電容量をつくり、数MHzでの高い加速電圧の実現をめざすため、径方向に5分の1にスケールダウンした試験空洞を製作した。この試験空洞には酸化チタンを用いたセラミックコンデンサを設置し、高周波特性の測定をおこなっている。この、コンデンサはセラミック部分の形状をドーナツ型にし、加速ギャップの形状を模擬している。このコンデンサは特別に高耐圧を目的に開発をされたものであり、DC60kVで耐圧試験を行った後納入された。また、高周波の空洞への導入方法について情報収集をおこない、検討をおこなった。来年度は高周波の導入端子を製作し、半導体アンプを用いて、この空洞への電力投入試験をおこなう予定である。
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