研究課題/領域番号 |
17654060
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
島田 賢也 広島大学, 放射光科学研究センター, 助教授 (10284225)
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研究分担者 |
根岸 彩子 広島大学, 放射光科学研究センター, 研究機関研究員 (00403618)
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キーワード | TaS_2 / TiSe_2 / インターカレーション / グラファイト / GIC / 角度分解光電子分光 |
研究概要 |
本年度は研究の目的である機能物質(層状半導体、インターカレーション物質)のマルチサイト電子構造を求めるため以下の研究を行った。 (1)TaS_2とTiSe_2の内殻準位の光電子分光実験を行い、マルチサイト効果を調べた。TaS_2には転移点以下で顕著な化学シフトが観測されるが、TiSe_2には観測されなかった。このことからTaS_2における原子変位が極めて大きく、TiSe_2については原子変位が小さいことが示唆された。この結果は広島大学で行われたThe 3rd Hiroshima Workshop -Novel Functional Materials with Multinary Freedoms-で国際学会発表を行った(根岸、島田)。 (2)グラファイトにIBr分子をインターカレートしたIBr-GICについて角度分解光電子分光実験(ARPES)および共鳴光電子分光実験を行い、インターカレーションに伴う電子構造の変化を明らかにした。ホストのキッシュグラファイト(KG)について放射光を用いたARPESを行い、バンド構造を精密に決定した。IBr-GICについては、フランスで行われた13th International Conference on Intercalation Compoundsで学会発表を行った(根岸)。KGのARPESについては、Hiroshima Workshopで国際学会発表を行った(島田、根岸)。 (3)Fe_xTiSe_2のARPESの解析を行い、TiSe_2で観測される超格子構造がFeをインターカレートすることで抑制され、半導体-金属転移が生じることを明らかにした。浸透理論を適用してFeの臨界濃度について考察し、ARPESおよび輸送現象の結果が合理的に理解できることを解明した(根岸、島田)。 来年度は触媒として重要な遷移金属表面(=マルチサイト機能物質)に研究を展開するため、準備を行った。
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