昨年度作製した超伝導体-磁性体複合膜である磁性ガーネット膜に直接スパッター法で超伝導体であるNbを蒸着した膜における磁束量子の観測を引き続き行った。一方、他の超伝導体を用いた例としてPb薄膜を作製し、さらにそこにフォトリソグラフィーによる微細加工を施すことにより、超伝導ネットワークを形成した。一辺数μmの縦・横数格子からなる有限系ネットワークから、縦・横100格子以上の実質的に無限と見なせるネットワークの形成に成功した。これらの超伝導ネットワークを磁気光学観察することにより、ねらい通りの磁気パターンが形成されていることを確認することができた。今後は磁性ガーネット上により細かなネットワークパターンを形成し、磁気光学観察することが必要である。 微細な磁気構造を磁気光学効果を用いて可視化する為、磁性ガーネット膜の作製を有機金属堆積(MOD)法の自動化を行った。MOD法では、一回の500A程度しか堆積できないため、実用的な厚さである1μm程度の薄膜を作製するには、数十回行程を繰り返す必要があり、この間に薄膜が汚染される等の問題がある。そこで、塗布、乾燥、焼結を連続的に同一の場所で行えるようなシステムを組み上げた。当初、乾燥には高周波加熱法を用いていたが、低いパワーでの安定性に問題があったため、熱風による乾燥に切り替えた。このようにして自動MODシステムで作製した磁性ガーネット膜に対して磁気光学的評価を行った。
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