研究課題
本研究では、高圧力下の磁気測定用の圧力セルの開発研究を行った。高感度磁化測定には、圧力セルの磁化を小さく抑える必要があり、研究代表者はTiCu合金に着目した。Tiの常磁性とCuの反磁性が打ち消しあうために、Xg【approximately equal】2×10^<-9>emu g^<-1>程度の極めて小さい磁化を示す。高圧素材としての市販品は1mm以下の板材に限られるため、インゴットからの鍛造加工によって、370Hvの丸棒の作成に成功した。真空炉を使用して容体化処理を行った後、熱間鍛造、冷間鍛造にはエアーハンマーを使用した。冷間鍛造時に加工度を上げすぎると、鍛造中に破砕してしまった。それぞれの加工後、丸棒を輪切りにして表面観察を行った。熱硬化処理には大気電気炉を用い、時効処理温度と硬さの関係を調べた。インゴットから硬度370Hvの丸棒を作成する条件を確定することができた。しかし、鍛造処理後の合金に若干の強磁性成分が含まれることがあり、エアーハンマー使用にあたって、不純物の混入に注意する必要があることも明らかとなった。これだけの強度があれば、ピストンシリンダー法により2Gpa程度までの加圧が可能である。これ以上の加圧には対向アンビルを用いたドリッカマー型圧力セルを用いることになる。ピレット材にはパイロフィライトを用いるのが一般的であるが、天然鉱物であるため強磁性不純物が多く含まれ、磁気測定部品には適さないことが明らかとなった。非磁性MgO製ピレットの開発を行った。また、人工鉱石であるモアッサナイトは、ダイアモンドより廉価であり、これが非磁性であることを明らかにし、アンビルに加工した。チタン銅が生産ラインに乗っていないため、このシリンダー作成条件を詰めるのに時間を要したため、ドリッカマー型セルを実際の磁気測定に適用するのが、今後の課題として残った。
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