研究概要 |
実験・理論的側面から、それぞれの今年度の研究業績を以下に記す。 (秋光、村中) フラットバンドと発現する物性との関連性を調べるため、バンド計算からフラットなバンド分散を持つことが知られているカルコゲナイド酸化物に着目した新物質開発を試み、新たに(La,Sr)OCuSe,(La,Ba)OCuTeを発見した。特に、Laサイトに対する部分置換によって、金属-半導体転移を示すことを明らかにした。 また、理論計算から提案されている候補の一つであるR_xB_6系部分ライングラフ格子を実現する物質の合成を試みるため、RB_6(R:Ca,Ba)において発現する微弱な磁性を微視的観測手段であるμSR測定から評価した。μ粒子の緩和率は110-130Kの温度範囲から上昇し、特にCaB_6では110K付近で電場の異常が生じる結果が得られた。このような振る舞いは、RB_6系特有の振る舞いである可能性を示唆する結果であると言える。 (久保、古川、宮原) 部分ライングラフ格子を一般化した格子上のtight binding模型においてフラットバンドが出現する場合がある。このような部分ライングラフの一般化を系統的に行う手法を提唱した。また、一般化された部分ライングラフ格子上のHubbard模型やHeisenberg模型において、厳密対角化や摂動計算を用いて、磁気的性質について調べた。その結果、強磁性的な状態が基底状態となる可能性があることが判明した。
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