研究概要 |
1.オフセット位相同期に必要なファイバーレーザーアレイの作製を行った。セラミックヒーター型ファイバーカップラー製造装置を用いて8本のファイバーを同時延伸融着して一次元のファイバーアレイを作製した。しかしアレイ間隔やアレイ長の均質性がなかなか向上せず,問題の克服を続けている最中である。並行してマルチコアYb添ファイバーを新たに導入することにし,これを1次元で使用することとした。それを前にYb添加ファイバーレーザーの基礎研究を行い,1064nmおよび1178nmにおけるダブルクラッドファイバーレーザーの発振特性を実験,モデル計算の両面より推進した。位相同期,波長変換を目指した単一偏光化の実験を行い,12Wの単一偏光出力を得ることに成功し,2.2Wの緑色第二高調波光発生を実証した。 2.研究を続けているレーザーアレイのコヒーレントビーム結合において,Y字型複合共振器の線形状関数を精密に考察し,2本のコヒーレントアレイにおいて,共振器光路長比の条件及び高Q値条件を満たせば高調波モード同期が可能であることを見いだした。実証実験として,半導体過飽和吸収体鏡モード同期フェムト秒Er添加ファイバーレーザーを作製し,ビームスプリッターを用いて複合共振器構造とし,適当な共振器長差を与えて高調波モード抑圧比40dB以上,20次高調波(276MHz)の900fsのパルス列を得ることに成功した。またコヒーレントビーム結合のスケーリング理論を構築した。加算効率をアレイ数,共振器長,レーザー帯域の関数として求めた。その結果アレイ数8〜10個がコヒーレント加算の限界であると分かり,既に報告した実験,シミュレーションの結果と一致した。 3.超短パルスファイバーレーザーのパワースケーリングのもうひとつの有力な手法である大モード面積フォトニック結晶ファイバーおよびチャープパルス増幅を用いた超短パルス増幅の研究も行っており,1557nmにおいてパルスエネルギー21nJ,パルス幅440fsを得た。
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