研究課題/領域番号 |
17654079
|
研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
池田 時浩 独立行政法人理化学研究所, 山崎原子物理研究室, 先任研究員 (80301745)
|
研究分担者 |
金井 保之 独立行政法人理化学研究所, 山崎原子物理研究室, 先任研究員 (00177487)
山崎 泰規 独立行政法人理化学研究所, 山崎原子物理研究室, 先任研究員 (30114903)
|
キーワード | ガイド効果 / 多価イオン / ナノビーム / 細胞内器官 / 生物照射 / ガラスキャピラリー / イオンビーム / 集束 |
研究概要 |
マイクロビームと称されるものは、数10ミクロン以下のビーム径となると、大掛かりな電磁レンズが必要で、微量分析や、細胞照射およびマイクロサージャリ等の広い需要に応えるには、コスト、加速器に関する専門性等で問題があった。我々が提唱してきた安価でコンパクトなガラスキャピラリーによるイオンサブミクロンビーム(イオンナノビーム)の生成方法を確立することが本研究の目的であった。当初の目標どおりサブミクロン径のAr^<8+>ビームを生成することに成功しただけでなく、ビーム光学素子としてのガラスキャピラリーによるビーム偏向、ビーム集束、また、ビーム通過の際にエネルギー損失を起こさないことも確認することに成功し、学会発表、国際会議招待講演、論文にて発表を行なった。これによりkeVから100keVの運動エネルギー領域では自己組織化チャージアップによるガイディングが起こり、結果としてビームの密度が上がることが示された。さらに、100keVより高い運動エネルギーの粒子に対しては小角散乱が支配的でありMeVの領域に至るまでガイディングと集束が可能であることもわかった。細胞内器官への照射は、ガラスキャピラリーの先端にミクロンオーダー厚のガラス膜を形成する方法を考案し、この膜は大気圧にも十分耐えられること、および、ヘリウムイオンビームを用いることで、大気中へのビーム取出しができることを確認、および、ツールとしての特性である出射電流強度の偏向角度依存性も調べた。最終的に、照射範囲の3次元的な分布が確認できるよう液体中のHeLa細胞に蛍光タンパク質を付加した後、実際に照射した。これにより細胞内器官への選択的な照射が可能であることを示した。
|