研究概要 |
生活環境レベルの(非電離)電磁場が多細胞生物の細胞活動に影響を与えていることは確立された知見である.細胞レベルの知見と生物個体への影響の乖離を埋めるため,単細胞生物であるゾウリムシはストレス影響を個体の行動として示す点でモデル生物として最適である. 現在,磁場のゾウリムシへの影響を調べるための,実験装置開発と予備実験を行っている.予備実験では,曝露装置を曝露用とコントロール用に2つ組み、その環境でリアルタイムの画像解析が出来るように顕微鏡をセットアップしている.この装置では、35mmφディッシュを磁場中に置くことができ、円筒形コイル中央付近では、内部の磁場強さをコイルに流れる電流値から計算可能であり、そのメリットを最大限に生かすために我々の装置ではディッシュがコイルの中央付近に位置するようにしてある。また、温度はディッシュにできるだけ近い部分で計測できるように熱電対を用い,外部で定期的に温度計測できる。 現在,ゾウリムシに対する磁場曝露装置と画像解析プログラムが完成し,磁場ストレスの生体影響に関する予備実験を行っている.様々なパラメーターの中で,もっとも安定して再現性よくデータが取れる条件を,試行錯誤しながら探っているところである. また,磁場の生体影響に関する各種,最新文献のレビューを行い,その結果は研究発表欄にある解説論文で発表をしている.これらの知見も,今後のゾウリムシ研究で活かす予定である.
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