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2006 年度 実績報告書

海氷生成と融解に伴う大気への二酸化炭素放出・吸収に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17654089
研究機関北海道大学

研究代表者

吉川 久幸 (井上 久幸)  北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (60344496)

研究分担者 豊田 威信  北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (80312411)
キーワード海氷 / 炭酸系 / 二酸化炭素分圧 / ブライン / CO_2フラックス / 低温実験室 / オホーツク海 / サロマ湖
研究概要

研究の最終目的は、海氷生成・融解に伴う大気・海洋間の二酸化炭素(CO_2)交換を支配する要因を明らかにし、季節海氷域が炭素循環に果たす役割を評価することにある。本研究はその第一歩であり、-30℃まで室温が制御できる低温室において海氷生成実験を行ない、海氷生成と融解に伴うCO_2の放出・吸収過程に関する知見を得ることが目的である。
物質循環の観点からは、海氷は単に大気・海洋間のCO_2交換を妨げる障壁として認識されてきたに過ぎない。事実、全球炭素循環モデルでは、海氷存在下での大気・海洋間のCO_2交換は考慮されていない。一方で、海氷存在下での大気・海洋間の気体交換は、室内実験や現場観測などで提案されていることも事実である。
そこで本研究においては、海氷生成容器を作成し、低温室において海氷生成中のCO_2の挙動を明らかにするため以下の実験を行った。先ず、海水50Lを入れ閉鎖系にした海氷生成容器を-1.5℃の低温室に2日間保持後、室温を-15、-20、-25、-30℃に低下させ海氷を生成・成長させた。このとき、容器内気相部分及び海氷・海水の温度、海水塩分、気相部分のCO_2濃度をそれぞれ所定の方法で測定した。氷厚が5cmになった段階で実験を終了した。
全ての実験こおいて、海氷生成・成長と同時に容器内気相部分のCO_2濃度の増加が確認され、その増加速度は海氷生成速度(室温)に依存していることが明らかとなった。海氷中のブラインでは、溶存無機炭素濃度の増加、塩分による炭酸の平衡定数の変化、溶解度の変化が生じる。また、炭酸カルシウムの沈殿も可能性として存在する。これらの理由により、気相部分のCO_2濃度増加が生じていると考えられ、実験で得られたCO_2フラックスとブライン上部で評価した二酸化炭素分圧とは良い相関関係にあることが分かった。これらの結果は、国際誌に印刷された。また、室内実験で得られた結果を、実際の季節海氷域で確認すること、融解期のCO_2フラックスを評価するために、オホーツク海とサロマ湖で現場観測を実施し、得られた結果は、国際会議で発表した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] The effect of sea-ice growth on CO_2 exchange between the seawater and the overlying air on the bsis of tank experiments.2006

    • 著者名/発表者名
      Nomura, D.
    • 雑誌名

      Tellus 58B

      ページ: 418-426

  • [雑誌論文] Ship-borne electromagnetic induction sounding of sea ice thickness in the south Okhotsk Sea.2006

    • 著者名/発表者名
      Uto, S.
    • 雑誌名

      Ann. Glaciol. 44

      ページ: 253-260

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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