研究概要 |
岩石中に微量に存在するモナザイト等の鉱物粒子は0.2mm程度のサイズでありながら、粒子各部分の形成年代が異なっていることが多い。この年代の2次元分布を視覚化するために,年代や元素濃度の2次元分布分析法(マッピング)を検討した。 (1)各ピクセルのピーク強度から検量線法で濃度に変換するプログラムを作成した。また、ピークとBGの両強度を測定し、UMβに対するThMγやPbMαに対するThMζとYLγの干渉を補正して、定量補正計算するプログラムを作成した。 (2)200Maより若いモナザイトでは、検量線法を採用するとPbの定量値が不正確になるので、ピークとBGの測定が不可欠である。 (3)各ピクセルでピークとBGを各5秒測定すると,200×200区画マッピングに要する時間は110時間を超える。1方、100Maのモナザイトで1σの信頼度における誤差を20%以下にするためには,200nAのプローブ電流を用いて75秒の計測が必要となる。 (4)1μAのプローブ電流で,3台の分光器で測定したPbMaを合算して75秒に匹敵する精度を得るプログラムを開発した。この場合、残る1台の分光器でPbMaのBGを測定し,2回目のスキャンでThMα,UMβ,YKαとSkα等を測定する。2回目のSKαの代わりに存在量の小さいUMβを2台の分光器で計測すると,1区画の計測時間を3秒程度に短縮できる。本プログラムにより、100〜80Maのモナザイトの200×200区画マッピングが約95時間で実現できるようになった。 (5)プローブ電流を1.5〜2μAにすると計測時間が短縮できるが,メタミクト部分やクラック部分から炭素の蒸着膜が剥脱し始めることが判明した。平成18年度にプローブ電流の最適化とAu蒸着の可否を検討して、年代マッピングの地球科学的応用を展開する。
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