研究概要 |
惑星の内部構造やダイナミクスを理解する上で鉄合金融体の密度は基本的な物性値である。しかしながら、現在まで高圧下での鉄合金融体の密度測定は数例しか行われていない。浮沈法を用いたFe-S融体の密度測定Balog et al.(2003)やNishida et al.(submitted)で行われている。X線吸収法によるFe-S(S=10,20,and 27wt%)融体の密度測定は圧力が1.5-6.2GPa、温度が1500-1780K範囲で(Sanloup et al. 2000)によって行われている。本研究では,X線吸収コントラストイメージを用いて密度測定を行った。この方法は透過X線強度がX線吸収コントラストイメージの明るさに比例する原理に基づいており、1度の露光で試料を通過した2次元の透過X線強度の情報を得ることができるのが利点である。 本研究ではFeS融体の密度をKEK-PFのBL14C2において5GPa、1900Kまでの条件で密度測定を行った。1.3GPa、1600KにおけるFeS融体の密度は4.23g/cm^3であった。本研究で得られた1.3GPa-1600KのFeS融体の密度と4.2GPa-1573Kの密度(Chen et al. 2005)と1atm-1600Kの密度(Kaiura et al.,1979)を用いて得られた等温体積弾性率(K_T)はK'が4から6の範囲でおのおの12.3から14.6GPaであった。 本研究によって、X線イメージを用いる密度測定法が、従来のX線吸収法の限界であった圧力を大幅に拡大できるものであることが明らかとなった。
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