本年度も、水流体を高温高圧下で等体積におくため、テーパー付きサファイヤシリンダー中に水流体を封じることを試みた。昨年度は、全長6.00mmで、両端に長さ3.50mm、入り口2.0mm内部1.0mmのテーパー部をつくったサファイヤシリンダーに水流体を封じた0.9Φの白金カプセルをサファイヤカプセルに入れて、X線その場観察を行った。しかしこの場合、水流体の膨張により白金カプセルが破れ、水流体を封じることが出来なかった。本年度は、カプセルをサファイヤと白金の二重構造にすることを止めた。即ち、直径4.0mm・長さ3.1mm・擂り鉢開口径2.5mm・試料部長1.0mm、試料部系1.0mmのサファイヤシリンダーを作成し、それに適合するサイズのモリブデンのふたを作成し、そこに水流体を封じることを試みた。モリブデンのふたとサファイヤシリンダーの間には、厚さ50ミクロンの金箔を敷いて、水流体をシールした。このシールはX線その場観察実験において圧力測定にも用いられる。この試料を高圧セル(1辺25mmのMgO八面耐圧力媒体・グラファイトヒーター・窒化硼素サンプル容器・クロメルアルメル熱電対)中に入れ、高圧X線その場観察実験を行った。荷重100トンで0.64GPaまで加圧し、500Kまで加熱し、冷却した。水流体が封じられていれば、加熱によって圧力が上昇し、冷却によってもとの圧力に戻るはずであるが、加熱しても圧力は上昇せず、冷却すると圧力はゼロ付近になった。実験後、試料部を観察すると水流体は存在していなかった。このように、本研究では水流体を高温高圧下で等体積中に封じることは出来なかった。
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