研究概要 |
本研究では超小型マルチアンビル高圧装置の開発を行った.今年は2年目最終年度である.プレスを小型化するためには従来のプレスフレームを使う方法は有効ではない.本研究で油圧ラム自体にマルチアンビル部分を内蔵するユニークな形状を提案した.フレームを使わないため横のサイズがラム径と同じになり,重量的にも軽い.実際でき上がったものは手でなんとか持ち上がる重さであった. 前年度末に油圧ラム部分自体が完成した.しかしポンプやガイドブロック等は本年度の予算では購入が困難であった.そこでポンプについては水熱装置用2kbのポンプがあったので、それを流用して加圧試験を行った.問題なく設計の100トンまで加圧することができた.安全係数を十分取っているようなので、荷重としては200トンまでは加圧可能であろう.ガイドブロック等が購入できないため実際の高圧発生実験はまだできていない.このプレスの場合、内径が小さくかつ深いため個々のガイドブロックや高圧セルを直接手で挿入することは困難である.そのため外部で全て組んだ上で、挿入する必要がある.そのための方法と道具を考案や設計した.また加熱用の電源と熱電対による温度測定で最低4本の電極が必要となる.これについては上面の3組のガイドブロック(円柱を6分割するタイプ)を独立な電極とすることを考えた.本体自体を1つの電極にすることで計4個の電極を確保することが可能となる.当然ガイドブロックは電気的に絶縁する必要がある.X線ラジオグラフィ用に中央部に穴が空けてあるが、これも電極の取り出しに.またここはネジになっているため、ここに水を流して冷却することが可能である. まだ高圧発生実験まで辿り着いていないが、今後ガイドブロック予算を獲得して単独で、また放射光施設に持ち込んでの利用を行う予定である.
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