1.圧縮率関数(距離の関数としての圧縮(伸張)率)が非線形(山型)の場合の1次元スメール馬蹄力学系について、Mathematicaを用いた縞の生成コードを開発した。このコードを用いた、数値計算の結果、山型の場合には、線形の場合にはないサンドイッチ形の対称構造が生成されることを見出した。 2.縞状構造についての理論的考察を行い、縞の空間構造に自己相似性があり、局所的縞幅の減衰率が、圧縮率関数によって決まっていることを明らかにした。具体的には、よどみ点から距離と縞の幅の両対数グラフにおける傾きが、1-2aとなることを明らかにした。ここで、aは圧縮率である。 3.計算機によって解析されたことを天然の縞状構造に応用するためには、3次元空間の一般的流れにおいて縞状構造形成の逆問題を解く必要があるが、これは気が遠くなるほど難しい。本研究では、この問題の端緒を得ることを目的としているから、2次元の簡単な変形場について洞察を得ておく必要がある。このために、本年度は、粘性流体として水あめまたはシリコンオイルを想定し、簡単なモデル実験を行うための実験装置の開発を行なった。具体的には、パーソナルコンピューターによって、任意にステッピングモータの回転速度をプログラム制御できるアクリル製の変心二重円筒装置の設計を行い、試作品を作成した。 4.天然での縞状構造の成因を明らかにするために、福井県雄島の流紋岩について、岩石学的研究を行い、縞状構造形成における包有物(enclave)の重要性を認識した。
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