研究課題/領域番号 |
17654107
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
中井 泉 東京理科大学, 理学部, 教授 (90155648)
|
研究分担者 |
保倉 明子 東京理科大学, 助手 (20343569)
石崎 欣尚 首都大学東京, 都市教養部・理工学系物理学コース, 助手 (10285091)
亀卦川 卓美 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所・放射光研究施設, 助手 (70195220)
|
キーワード | 超伝導X線検出器 / TES型検出器 / カロリメトリー / エネルギー分散X線回折 |
研究概要 |
超高圧発生装置を用いる地球深部物質の研究では、高圧下の物質の粉末回折に空間的制限があることから、2θを固定して放射光白色X線を照射するエネルギー分散X線回折(EDXRD)が国際的に広く用いられている。それにもかかわらず、検出器には、この20年間特別の進歩がない。本研究はX線計測における革新的要素技術である超伝導転移端を利用したカロリメトリー方式のTES検出器を上記計測に導入することにより、新次元の先端的計測手法を創出することが目的である。 平成17年度は、TES検出器の開発と、超高圧実験EDXRDシステムへの応用のためのオフラインでの研究が目標であった。しかし、つくば市の放射光実験施設PFの共同利用実験課題を申請したところ、高得点で採択されたため、検出器も順調に開発がすすんだ。そこで、つくばのPFのBL14-C2に設置されているMax IIIマルチアンビル超高圧発生装置に、開発したTES検出器を設置できるよう、治具を作成した。 平成18年3月14日より3月20日まで、放射光のビームタイムが配分された。3月9日にTES検出器をつくばのPFに導入し、調整を行った。3月14日より、放射光X線を使ったTESの測定システムの立ち上げを行った。実際に、放射光を超高圧プレスの試料位置に設置したNaClの粉体に照射し、回折X線をTES検出器で測定することに成功した。TES検出器により、エネルギー分散方式で回折データーが収集されたのは、世界初のことである。施設の電源ノイズが多く、エネルギー分解能はまだ悪く、調整も難しかった。ただ、今回一通りの実験ができ、基礎データーが得られ、当初の目標より進展した。今後、夏のビームタイムまでに改良して、さらに実験を進める計画である。
|