研究課題
本研究で開発された分析法によって、様々な地殻物質中のNd安定同位体が分析された。火成岩は、それぞれ誤差範囲内で一致した同位体比を示し、その平均はε^<146>Nd=-0.2±0.5であった。これらの火成岩はマントルにその起源を持つと考えられる事から、マントルにおけるNd安定同位体存在度は均質であると推測された。海水起源と考えられるマンガンノジュールおよび珊瑚のε^<146>Ndは、いずれも+0.2と誤差範囲内で一致した。同位体存在度の一致から、海水のε^<146>Ndも+0.2と推測できる。一方、海成炭酸塩岩のNd安定同位体比は、明らかに重い同位体組成を示した。REEパターンの類似性より炭酸塩岩中のNdは海水起源であると考えられ、ドロマイトも石灰岩と同等に重いNd同位体存在度を示す事と、同じ岩体のドロマイトと石灰岩の間にREE濃度の変化が観測されない事から、ドロマイト化作用はNd同位体分別を生じさせる主要な反応ではなく、海成炭酸塩岩に見られるNd同位体の分別は、続成作用時のREE濃縮に伴って生じたと考えた。本研究による成果の主体部分は投稿中であるが、関連した論文が印刷公表された。
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