研究概要 |
1.平成17年度の成果に基づき,DNAを分散させる溶液を含む大気圧マイクロプラズマ生成法として,容量結合型の高周波(13.56MHz)グロー放電方式を採用し,溶液として中性粒子を含まず正イオン・負イオンのみから構成され,イオン伝導度が高く,蒸気圧が極めて小さいという特徴を有しているイオン液体を導入した.その結果,イオン液体(液相)-プラズマ(気相)界面を有する安定した溶液混合大気圧プラズマの生成に成功した. 2.まずはDNAを導入せずにイオン液体自体のプラズマ生成による変化を調べたところ,プラズマ生成後,イオン液体量には大きな変化は確認されなかったが,イオン液体の色が生成時間の経過に伴い,次第に濃い黄色へと明確に変化していく傾向を発見した.これは,液体表面にシース電場が形成されたことで,気相中のプラズマイオンがイオン液体表面へ照射され,イオン液体表面で物理・化学的作用が誘起されたことに起因していると考えられる. 3.イオン液体-プラズマ界面領域へのプラズマイオン照射に着目し,そのイオンエネルギーの制御が可能な減圧条件下で実験を行った結果,イオン液体の表面にシース電場が形成され得る実験条件の場合にのみ,放電電圧の低下や気相領域での電子密度の上昇が観測された.この結果から,シース電場によるプラズマイオン照射が,金属同様にイオン液体表面からの二次電子放出等の放電支援機能を発現させている可能性が示唆される. 4.以上の成果より,溶液混合プラズマ中におけるイオン液体-プラズマ界面のプラズマシース電場を利用し,気相及び液相中でのイオン挙動,相間の物質輸送等を制御できることが明らかとなり,液体を必要とするDNAとカーボンナノチューブから構成されるDNA内包カーボンナノチューブの高効率創製が期待できる.
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