液中で非平衡プラズマを生成することについて視点を変えて、液体と気体の二層を挟み微小間隔で電極を設置する構造の放電形態を提案し、検討した。この構造を用いるとプラズマ生成だけでなく、界面現象を調べるモデル実験として意義があり、次の特徴がある。液中で直流電圧により定常放電を得るのは困難であるが、気体相があるため容易に定常グロー放電が実現できる。この放電では気体-液体および液体-電極界面の二種類の現象が組み合わされている。しかも気体と液体との空間は1mm以下の距離としているので、プラズマが液体に与える影響を顕著にできる。すなわち、電極間隔を微小とすることにより、気体と液中の電極とが一体として扱える放電部を構成できる。本方法は液体が介在する非平衡プラズマの生成に適したものであり、化学反応を利用する応用に有効である。 液体、金属をそれぞれ電極とした場合、陽極とするならば両者の放電維持電圧同じであるが、陰極とすると液体のほうが金属に比べて放電維持電圧が高くなる。液体陰極を用いて大気圧グロー放電を得るために、電解質濃度の設定、液体を流動させること、放電電流をある大きさ以上にすることなどの条件が必要であることを見いだした。微小電極の実験では、液体中の金属電極付近での電気分解反応とプラズマ-液体界面現象が複合した系を構築できた。微小なノズル陽極からヘリウムを流出させると、放電部の直径が軸方向に一定であるグロー放電が得られ、かつ放電の安定性を向上できた。以上のように液体界面現象は未解明ではあるが、液体を陰極とし、かつ微小ギャップとする放電は、液体が介在するプラズマの生成とその応用に大きく展開できることを示している。
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