研究概要 |
本研究ではエネルギーの有効かつ効率的利用と有害ガス成分排出の極小化の観点から注目されている高温燃焼酸素火炎の新しい制御の確立のために、誘導熱プラズマ技術をベースとした制御法を提案した.基礎となる電磁波と高温燃焼酸素火炎との相互作用について,高温燃焼酸素火炎をプラズマという視点から捉え,高周波電磁場印加時の火炎の変化を,電気的特性,分光計測,探針計測により明らかにした. (1)メタンと酸素の予混合による純酸素燃焼が可能であるバーナーを製作し,燃焼の最適化を行った. (2)種々の形状の誘導コイルを製作し,高周波電磁場と純酸素燃焼火炎との結合を調べた高周波電源にはSITインバータ電源(周波数0.5MHz〜1.5MHz,電力20kW以下)を用いた.直径20mm,巻き数10の誘導コイルを用いた場合,誘導コイル内に火炎点火時に負荷抵抗の上昇が観測され,約1.5kWの高周波電力が純酸素燃焼火炎へ投入された. (3)干渉フィルター付き高速度撮影カメラによるOHラジカルとCHラジカルの自発分光計測の結果より、高周波電磁場印加時に燃焼度向上を示唆するOHラジカルの発光強度が上昇することが確認された。 (4)純酸素燃焼火炎中の荷電粒子密度を計測するために,新たに高速掃引型複探針計測システムを開発した.プラズマ計測に一般に用いられるタングステン探針は,純酸素燃焼火炎中では酸化のため電気伝導度が著しく低下し,使用出来ないことが分かった.そのため化学的に安定な白金を用いた探針を製作し,この白金探針と高速掃引システムにより純酸素燃焼火炎中の電流-電圧特性の計測を可能とした.電流-電圧特性は通常プラズマにおけるシース形成に伴う非線形特性は見られず,線形的な特性を示す.現在電子-中性ガス間の衝突による電子の移動度の解析を行い,純酸素燃焼火炎中の電子密度の評価を行っている.
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