研究課題/領域番号 |
17655030
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
北森 武彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (60214821)
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研究分担者 |
馬渡 和真 財団法人神奈川科学技術アカデミー, 光科学重点研究室, 研究員 (60415974)
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キーワード | 単一分子 / 熱レンズ顕微鏡 / 暗視野法 / マイクロチップ / 非蛍光性分子 / 微小空間 / ポリスチレン / バックグラウンドフリー |
研究概要 |
分析システムを集積化したマイクロチップや単一細胞分析などに見られるように、近年分析対象はマイクロ・ナノサイズ化へと向かっており、微小空間における化学・バイオという新しい学問領域に対する期待が高まっている。このような微小空間では多数平均としての分子の振る舞いではなく、個々の単一分子を分析することが重要になる。これまで、このような極限分析手法として蛍光法が知られているが、対象が蛍光分子に限定されるために、汎用性が低かった。そこで、本研究では、光吸収後の熱を高感度に測定する当グループオリジナルの熱レンズ顕微鏡を高感度化して、単一分子分析できる感度まで高めることを目的とした。従来の光学的高バックグラウンド測定の限界を脱却するために、暗視野法というバックグラウンドフリーな観察法と組み合わせて、新しく暗視野熱レンズ顕微鏡を開発する。 平成17年度は、暗視野熱レンズ顕微鏡の実現と原理実証を目的した。暗視野測定と熱レンズ測定を顕微鏡上で実現するための光学設計を行い、実際に正立顕微鏡をベースに暗視野熱レンズ顕微鏡を試作した。励起光を上部から導入して、対物レンズによりマイクロチャネルに集光して熱レンズ効果を起こし、下部から暗視野コンデンサを介して導入したプローブ光の熱レンズ効果による偏向を、接眼レンズ上部に設置した共焦点光学系と光電子増倍管によりバックグラウンドフリーかつ高感度に計測した。 実際に着色した130nmのポリスチレン粒子をマイクロチャネルに流しながら測定したところ、プローブ光のみの照射では光散乱による微弱なパルス信号のみであったが、励起光の照射により1桁強度を増強することを確認した。 このように、平成17年度で当初の目的どおり原理確認まで達成した。
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