研究概要 |
走査型電子顕微鏡を用いて,粒径10nmオーダーの粒子の断層像をイメージングする方法を開発した.X線吸収分光法を応用し,酸化チタン・エアロゾル粒子に対して,ルチル構造かアナターゼ構造かという結晶構造を見分ける方法を開発した.同時に発光X線を用いることにより元素組成の違いを見分ける方法を開発した. 電子ビームを任意の原子番号の物質に照射した際に,照射電子エネルギーやターゲットの原子番号にかかわらず一般的に成り立つバックグラウンドX線スペクトルの絶対強度とそのスペクトル分布を表す式を導き,実際にSEMによって測定したスペクトルとの比較を行い,理論式と実験結果の間の一致が極めてよいことを見出した.これによりSEMスペクトルの絶対強度とスペクトル形状を予想する方法を得ることができた. 本研究によって開発した方法を光触媒として商品化されている各種エアロゾル粒子に対して応用することによって,従来得られていなかった世界最高の科学状態分析結果を酸化チタン光触媒粒子に対して得ることができた.この結果,光触媒エアロゾルがナノ粒子として体内に吸引された場合の毒性について評価することができた.この結果について,京都大学とSPring-8からの記者発表を計画したが両者とも記者発表に対して否定的な見解であったため新聞発表はできなかった.しかしながら,今回得られた結果が公になれば,酸化チタン光触媒が第2のアスベストとなる可能性を指摘したことになり,社会的な影響はきわめて重大である.
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