研究概要 |
(1)イミダゾリル基を触媒基としてもつビスベンズイミダゾール-キャップドβ-シクロデキストリン誘導体の合成:β-シクロデキストリンの6Aにイミダゾリル基、6B(または6C、6G)にヨードをそれぞれ導入した後、6Eを位置特異的にスルホニル化し、続いてフェニレンジアミンによる置換反応を行い、得た三置換体をイソフタルでヒドと反応させることによって、触媒基をもつ蛍光性β-シクロデキストリン誘導体を三種類合成して、構造決定を行った。 (2)ビスベンズマイダゾール-キャップドβ-シクロデキストリンおよびイミダゾリル基をもつビスベンズイミダゾール-キャップドβ-シクロデキストリン誘導体の発光挙動:6A,6C-;6A,6D-キャップドβ-シクロデキストリンおよび上記(1)で合成した三種のβ-シクロデキストリン誘導体を過酸化水素およびシュウ酸エステルと反応させ、化学発光強度を測定して、構造と増感効果との相関を認めた。蛍光性発色団が6A,6Cをキャップしたものはより大きな増感効果を示し、これは分子認識能と一致した結果である。また、新たに導入したイミダゾリル基は予想と反し、発光強度を大きく低下させることを知見として得ている。 (3)coumarin-シクロデキストリン連結体:β-シクロデキストリン一級水酸基側の修飾を通じてacridine、anthracene、pyrene、coumarin、fluorescein、rhodamineなどの色素-シクロデキストリン連結体を合成し、構造を決定した。fluoresceinおよびrhodamineのシクロデキストリン連結体はラクタム構造を取り、化学発光測定に不適切であるが、その他の色素-シクロデキストリンを用いて、過シュウ酸エステル(TCPO)の化学発光反応について詳細に検討を行った。その結果、シクロデキストリンと連結していない色素に比べ、acridine-シクロデキストリンおよびanthracene-シクロデキストリンはほとんど増感効果を示さなかったが、pyreneおよびcoumarinのシクロデキストリン連結体に大きな増感効果(約100倍まで)を認めた。18年度では、この系を中心にして新規色素-シクロデキストリン連結体を創出するとともに、発光反応の各段階、特にエネルギー移動の効率について詳細に検討する。
|