研究課題
磁気ビーズ上に担持された高付加価値・高機能触媒の開発を目差し、研究を行った。不斉触媒反応に有用な分子性錯体触媒の担持を目標とし、独自の設計に基づいて本研究目的に適う光学活性ビスイミダゾリン配位子の開発を行った。本配位子は、室温、空気中で保存できる安定性を有し、取り扱いの容易な化合物であった。また多くの金属塩に高い親和性をもって配位し、錯体触媒として触媒的不斉プロパン化やジオール類の触媒的不斉アシル化反応に有用であることを確認した。現在、本配位子の磁気ビーズへの導入と、それを用いる触媒的不斉反応への応用を検討中である。一方、磁気ビースを用いる触媒反応の開発には、アミノ基末端を表層に有する磁気ビーズを用い、種々の銅塩と錯体を形成した後に触媒として用いることで、触媒的Henry反応や、カルボニル化合物の触媒的α-ヒドロキシル化反応に有用であることを見いだした。実際に、反応終了後の触媒が磁気分離により、回収できることも確認している。特にカルボニル化合物の触媒的α-ヒドロキシル化反応は、空気中の酸素を直接用いることができるため、酸化反応としてもその実用性は極めて高いものである。今後は、研究計画に基づいたいくつかの高機能磁性体の合成手法を検討することにより、磁気ビーズの安定性を向上させたい。さらに、独自に開発に成功した光学活性イミダゾリン配位子を用いることで、より高付加価値、高機能な触媒の磁気分離に展開し、実用的な環境調和型反応プロセスの確立を目指す予定である。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (2件)
Chem.Lett. 34巻
ページ: 1590-1591
Synlett 17号
ページ: 2670-2672