研究課題/領域番号 |
17655083
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
直井 勝彦 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 教授 (70192664)
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研究分担者 |
町田 健治 東京農工大学, 大学院・工学教育部, 教務職員 (40376885)
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キーワード | π共役系導電性高分子 / 超分子 / スーパーキャパシタ / プロトン電池 / π-π相互作用 / カーボン / 高エネルギー密度 / 高サイクル |
研究概要 |
本研究はπ共役系導電性高分子オリゴマーを設計・合成し、高エネルギー密度、高パワー密度、良好なサイクル特性を有した、重金属フリーな耐環境型の三次元超分子電極材料の構築を目的とした。そして、作製した電極材料の次世代型エネルギー貯蔵材料(スーパーキャパシタやプロトン電池)としての可能性を検討、評価する。 現行のエネルギー貯蔵デバイスであるリチウムイオン二次電池においては、リチウムイオンの析出・溶解による反応機構をエネルギー貯蔵に利用しているため、反応速度が非常に遅く、パワー密度(単位時間当たりに貯蔵・放出する電荷量)は、100Wkg^<-1>と鉛蓄電池の10倍程度しか発現しない。しかしながら、我々が提案するプロトン交換型エネルギー貯蔵材料は、プロトンというイオンの中で最も小さく、移動度が最も高いカチオンを利用していることから、反応速度が非常に速く、かつ水溶液系の電解質中で利用可能なことから、高パワー密度(1000Wkg^<-1>)と体感共生を見いだすことができる。更に独創的な点は、π共役系導電性高分子をオリゴマー程度に精密重合し、そのオリゴマー体をカーボン繊維材料(気相成長炭素繊維(VGCF)、ケッチェンブラック(KB)など)条に分子間的な相互作用(π-π相互作用)により、三次元的にナノオーダーで積層化(超分子構造の構築)させることで、三次元的な電子伝導、ならびに高サイクル特性を有すると期待される点である。従来の導電性高分子材料は直鎖構造であるため、充放電に伴うイオンのドープ・脱ドープによる膨潤・収縮が多方的に起こることから、サイクル毎の構造劣化が誘発される。しかしながら、我々が提案した超分子材料は、π共役系導電性高分子がナノオーダーで積層化していることから、充放電時にイオンの出入りがスムーズとなり等方的な膨潤・収縮が可能であることから、構造劣化が生じにくいといった、従来のπ共役系導電性高分子には見いだせなかった効果が期待できるとされる点である。
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