研究概要 |
キャパシタの充放電挙動の中で,レドックスキャパシタとして設計されたものではなく,電気二重層キャパシタとみなされている材料の中で,定電圧充放電に準ずる,あるいは近似できる容量発現に注目し,探索研究を行った。対象とした二重層キャパシタ系は,有機電解液系,水系電解液系それぞれについてである。有機電解液系においては,常温イオン性液体系の中に電位依存性が極めて大きく,高電圧側で電圧がかなり平坦になる系を見出した。時定数領域が2段階になることから単純な二重層応答では無い可能性も高く,今後の詳細解明を予定している。このような電解液種による定電圧的容量発現は,電極材料にも大きく依存することが判明しており,この観点からも解明を進める。さらに電池の負極材料としての利用も考え,添加物含有負極についても調査研究を行った。 一方,水系電解液についてはハロゲン化金属塩を電解液とし定電圧印加処理を行ったが,処理条件を最適化すると高電圧側(水系:0.5-1.0V)充放電領域に電圧平坦に準ずる挙動が現れることが解った。予備調査でもこのような挙動の存在は確認していたが,出現条件は本研究で初めて確認することが出来た。PZCと官能基の制御でこのような電極の設計が可能になると思われ,定電圧充放電に準ずるキャパシタの可能性が示唆された。現在そして今後は効率の良い電極処理の方法を探索する予定であり,これに対する基礎データの収集も一部進んでいる状態である。
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