研究課題
本年度は下記の2点について研究を実施した。1)シリコン基板上へのスピン・オン・グラス膜の形成シリコンVLSIプロセスに多用されているSiO_2-15%P_2O_5ガラスをスピンコーティング法によりシリコン基板上に形成した。4000rpmの回転数、10秒で原材料を基板に塗布後、窒素フロー下550℃、1分間の熱処理を加えることによりリチウムイオンの伝導性をもたせるためのポーラス状構造を作成した。以下の3つの構造を作成した。(1)シリコン基板上に形成したスピン・オン・グラス膜上にリチウムを蒸着し、約1mmのギャップをもうけて金電極を形成した構造。(2)シリコン基板上にリチウム供給源としてのLiMn_2O_4層を堆積後、この上にスピン・オン・グラス膜を作成し、さらにその上に金電極を形成した構造。(3)シリコン基板上に導電性ポリシリコンを形成し対電極とし、この上に10wt.%Li_3PO_4を添加したスピン・オン・グラス膜を作成し、さらにその上に金電極を形成した構造。2)原子間力顕微鏡(AFM)を用いた電圧印加下の伝導性評価上記構造(1)のリチウム蒸着電極から約500μmの位置に導電性AFMプローブを設置し、リチウム電極側をアースに、金電極側に最大15Vの負電圧を印加しAFMプローブ電流を測定したが、リチウムイオン電流を観察するに至っていない。構造(2)では、導電性プローブをスピン・オン・グラス膜に設置し、±1.5Vの電圧を印加したがLiMn_2O_4層からのリチウムイオン電流は測定されなかった。構造(3)では、金電極の上に導電性プローブを設置し定電流源を用いて70pAまでの電流が流れることを観測した。これは、Li_3PO_4添加したスピン・オン・グラス膜中のリチウムイオン電流に起因していると考えられ、今後、種々の陰イオン添加量とイオン電流及び導通時のAFM像変化を測定する予定である。
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