研究課題/領域番号 |
17656011
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
吉崎 泉 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部ISS科学プロジェクト室, 主任研究員 (10371139)
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研究分担者 |
栄 龍 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部ISS科学プロジェクト室, 主任研究員 (50358751)
足立 聡 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部宇宙環境利用科学研究系, 助教授 (80358746)
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キーワード | 結晶成長 / 結晶欠陥 / タンパク質 / 不純物 |
研究概要 |
本研究では、モデル実験系として特性のよく知られているニワトリ卵白リゾチームを対象とし、リゾチーム2量体(ダイマー)を不純物として混入させた正方晶結晶を用いて、不純物が結晶品質に及ぼす影響をロッキングカーブ幅で評価した(高エネルギー加速器研究機構、課題番号2004G173)。その結果、半値幅FWHM (the rocking curve full-width at half-maximum)は、ダイマーを含まない結晶が主として0.004-0.006°、ダイマーを含む結晶では主として0.006-0.010°であり、明白な違いが検出された。 次に、ダイマーの混入により結晶品質が劣化する原因を、X線トポグラフィーやエッチングの手法を用いて特定した。横浜市立大学との共同研究により、白色X線トポグラフィー実験を行ったところ、ダイマーを含まない結晶ではいずれも転位線が観察されなかったが、ダイマーを含む結晶では転位線が見られたことから、ダイマーの混入により転位が発生していると考えられる。この確認のためにエッチングを行ったところ、ダイマーを含まない結晶ではPoint bottomed deep etch pitは観察されず、ダイマーを含む結晶では多数観察された。Deep pitは一般に転位に由来するため、ダイマーの混入によって転位が誘起されたと考えられる。一方、ダイマー濃度を変動させてエッチングを行ったが、転位を生じる限界ダイマー濃度は特定することができなかった。純粋なリゾチーム溶液を使用した場合であっても、容器壁との接触などにより結晶がひび割れたりすることがあり、その場合はエッチングによってdeep pitが発生することもわかった。 SNOAM実験のための試料準備として、結晶を化学固定する方法を最適化した。
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