研究課題
新しい表示素子・フィールドエミッタ用の材料として期待されている窒化炭素(a-CN_x:H)膜の堆積法とその物性、そしてフィールドエミッタへの応用を研究した。スーパーマグネトロンプラズマ装置の下電極(堆積用基板の設置電極)に印加するRF電力を10Wと小さく固定し、上電極に5-800Wと大きく変化するRf電力を供給することにより、窒素原子濃度(蛍光X線分析値)が4.5-12.5mass%に変化する軟らかい膜を作製可能とした。膜の硬度は基板に印加するRF電力に強く影響されるため、下電極RF電力を小さくすると軟質な膜になる。軟質な膜はポリマー状であって、光学的バンドギャップが2eV以上と大きくなり、波長325nmのHe-Cdレーザーを照射すると広いバンドスペクトルの白色に近いフォトルミネッセンスが得られた。このような膜はEL(エレクトロルミネッセンス)素子用の材料に適しており、EL素子作製の実験を準備中である。スーパーマグネトロンプラズマCVD装置に原料ガスのイソブタンを導入し、窒素または水素の添加ガスを混入して成膜実験を行った。下電極RF電力を100Wと固定して、p-Si基板上に窒化炭素膜を堆積した。窒素を添加した膜の光学的バンドギャップは水素添加した膜のそれよりやや小さくなる傾向にある。膜の硬度は22GPaより大きく、硬質ガラスよりも硬い膜が作製できた。フィールドエミッションの測定装置にこれらのサンプルを設置して電界放出特性を測定すると、光学的バンドギャップが約1.2eVの時に最も低い閾値電界が得られた。電界電子放出の閾値電界の最小値は添加ガスの種類(窒素又は水素)に関係無く、光学的バンドギャップにのみ依存した。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Thin Solid Films Vol.515,Issue 9
ページ: 4121-4124
Jpn.J. Appl. Phys. Vol.45,No.10B
ページ: 8401-8405