本年度は、光渦発生ならびにサイクル域光パルスに関する以下の成果を得た。 1.2次元空間位相変調器を用いて、0次光を分離しやすいホログラムを生成することにより、トポロジカルチャージが100といった大きな場合でもクリーンな光渦(ラゲールガウシアンビーム)の発生に成功した。この方法は、光渦を用いた応用研究に重要な要素技術となる。 2.光渦(ラゲールガウシアンビーム)に非対称欠陥を導入することにより、トポロジカル位相の一種である、集光時のグイ位相シフトを観測する手法を開発した。この手法は、従来の干渉による手法とは異なり、簡便にグイ位相シフトを求めることができる。 3.偏光の特異性を持つ偏光渦から、位相の特異性を有する光渦への変換を行う素子の提案を行った。また、実際に光弾性効果を用いた偏光渦からの光渦の発生実験を行い、成功した。 4.微細構造ファイバーであるフォトニック結晶ファイバー中にフェムト秒光パルスを伝播させることにより、480-1000nm超広帯域スペクトルを発生させ、変形スペクトル干渉位相電場再生システム、フィードバック位相補償システムを組み合わせたフィードバック位相補償を行い、フォトニック結晶ファイバーからでは世界最短の4.9fsの高繰り返し光パルスの発生に成功した。このパルスは、サイクル域光渦発生の光源となるものである。
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